こういう二人ばっかり妄想してしまう~~~~~
こういう二人が見たいです!!!!!!
こういう二人が見たいです!!!!!!
扉を開ける前から、空腹をあおるいいにおいが漂っていた。
シルゲイがただいまと声をかけながら靴を脱いだが、返事がない。
これはよくあることだ。台所に立っている時は、作業の音で遠くの音が聞こえにくいらしい。
いつものとおり、玄関に行儀よく並べられたカオルの靴の隣に自分の靴も並べて置く。
二人の体格差分、大きさが違う靴が二つ並ぶ。
最初は自分の体が大きすぎることに抵抗があって、わざと靴も離しておいていたが、最近はすっかりなじんでしまった。カオルがシルゲイにそうするように、ぴたりとくっつけて並べる。
最初に洗面所に向かって手を洗い、うがいをした。
これも彼と暮らすようになってから身についた習慣だ。
別に洗わなくてもいいのかもしれないけど、絶対に聞かれてしまうから先に済ませるようになった。たまに口うるさい親のようなところがあるのだ。
うがいをして顔をゲルと、顔に泥がついていたから、ついでに顔も洗う。
もう残っていないか鏡の自分の顔をまじまじとみて、大丈夫だろうと頷くと、鏡に映ったシルゲイもうなずいた。
カオルが台所で鍋の蓋でも開けたのか、いいにおいがひときわ強く漂ってきて、胃袋がぐうとなった。
今夜はシチューだ。
たぶん、白いほうのシチュー。
ごろごろと大きめに切った具を口の中で噛む触感がよみがえって、つばを飲んだ。
これはいけない、急ぎ足で台所へ向かう。
いつもシチューがおいしくて全部食べてしまうけど、ご飯にシュチューをかけてチーズをのせて焼いたものもおいしいのだ。今日は少し我慢をして、それを作ってもらおうか。
そんなことを思いながらキッチンに入る。
緑色のつややかな毛並みの尻尾をゆたゆたと左右に揺らしながら、鍋を混ぜているカオルの背中が目に入った。
「カオル、ただいま。」
シルゲイの声を拾い上げるように、耳がピクリと動いて、尻尾がピンと跳ね、そのあと彼が振り返る。
「お帰り。」
カオルの顔がふわと緩んで笑うのと、シルゲイの腹が再びなったのはほぼ同時だった。
カオルの笑い声がはじけて、シルゲイは頭をかいた。
「もうすぐできるから、ほら、」
手招きされて隣に並ぶと、カオルの尻尾がシルゲイの足に軽く絡まってきた。
「昼飯の残りだけど、食べる?」
荒くつぶした卵と、スライスしたキュウリを挟んだサンドイッチを差し出された。
食べながら作るタイプではないから、シルゲイの帰りを待って、わざわざ出しておいてくれたのかもしれない。
食べる、と返事をする前にサンドイッチが口元へ差し出された。
いつもシルゲイ用に作られるサンドイッチと比べると小ぶりで、半分ぐらい口に入ってしまった。
中の具の水分を吸ってすこししっとりしたパンが口になじむ。
文字通り二口で差し出されたサンドイッチを食べてしまったシルゲイの背中を、カオルが優しくなでるように叩いた。
「こっちももすぐできるから、机、準備してくれ。」
「ん、わかった。」
小さく頷いたシルゲイのほほの下の方に、すり寄るようにカオルがキスをしたので、シルゲイもカオルの頭に軽くキスをして、机のセッティングに向かった。
部屋中にいい香りと、二人の空気が満ちていて、ああこれが幸せというものなのだろうなとかみしめながら、食器を並べ始めるのだった。
おわり。
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