煙草吸うみつなりの続き。
雰囲気SS
雰囲気SS
扉を開けると、締め切っているはずの冬の室内から、ヒヤリと冷たい風が流れてきた。
またか、
知らず漏れる溜め息と、靴を玄関に脱ぎ揃え、リビングに入ればやはり窓が開いていた。
ベランダに繋がる大きな窓にかけられたカーテンが風に揺れ、レース布の波間から闇にぽっかり浮かぶ男の後ろ姿が見えた。
わざと足音をたてて、出たばかりの屋外へまた入った。
振り向きもしない細い背中。首の辺りに額を押し付けると、ようやくおかえりと、人らしい挨拶が帰ってきた。
言葉にのって流れてくる、甘い煙草の匂いを追って、顔を寄せると冷めた頬に冷たい唇が落ちてきた。
ただいま、
おかえり。
窓開けてたら意味無いって、
閉めていたらお前の声が聞こえないだろう。
何見てた?
何も。
なあ、今日な…
ん、
いや、なんでもない。
なんだ、おかしな奴。
男にあったとは言えなかった。言葉を閉じ込めた唇で、男の唇をなめた。
またか、
知らず漏れる溜め息と、靴を玄関に脱ぎ揃え、リビングに入ればやはり窓が開いていた。
ベランダに繋がる大きな窓にかけられたカーテンが風に揺れ、レース布の波間から闇にぽっかり浮かぶ男の後ろ姿が見えた。
わざと足音をたてて、出たばかりの屋外へまた入った。
振り向きもしない細い背中。首の辺りに額を押し付けると、ようやくおかえりと、人らしい挨拶が帰ってきた。
言葉にのって流れてくる、甘い煙草の匂いを追って、顔を寄せると冷めた頬に冷たい唇が落ちてきた。
ただいま、
おかえり。
窓開けてたら意味無いって、
閉めていたらお前の声が聞こえないだろう。
何見てた?
何も。
なあ、今日な…
ん、
いや、なんでもない。
なんだ、おかしな奴。
男にあったとは言えなかった。言葉を閉じ込めた唇で、男の唇をなめた。
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