闇鍋大会で書いたやつ!
オルシュファン×ヴィエラヒカセン♀(名前は百ちゃん)
オルシュファンに三擦り半って言わせたかった。
呼び方とかがぐちゃっとしてるので許せない人はみないでください。
オルシュファン×ヴィエラヒカセン♀(名前は百ちゃん)
オルシュファンに三擦り半って言わせたかった。
呼び方とかがぐちゃっとしてるので許せない人はみないでください。
事の始まりは、アートボルグに友人の顔を見に行ったことだった。
父であるエドモンから、頂き物のおすそ分けにともらった茶葉を手に、親しい友人であるフランセルのもとを訪れた。
百の活躍により嫌疑が晴れた彼は、依然と同じようにここ、アートボルグで日々の務めを果たしている。
雪降る中訪れたオルシュファンを変わらない笑顔で歓迎し、持ってきた茶葉を喜んでくれた。
そう離れてはいないのだが、お互い日々に忙殺され、きっかけがなければこうしてゆっくり話をする機会もままならない。
思えばもう1月ぶりくらいになるのだろうか。
会えなかった時間だけ、近況報告を中心に会話に花が咲いた。
そんな中で、ふとフランセルの口から彼女の名が出たのだ。
「百殿は今、リムサロミンサに戻られているそうだ。」
「リムサロミンサ!イイな、彼女のしなやかな体と日差しのような人柄に良く似合う、うむ、イイ!」
満足げにうなずくオルシュファンの物言いに、フランセルが思わず笑った。
「それは、旅人にでもきいたのか。」
「いや、彼女から手紙が届いたんだ。オルシュファンも届いてるだろう、なかなか筆まめな冒険者だ。」
オルシュファンはにこやかに合図地を打ちながらも、頭の中は同様でいっぱいだった。
彼女から手紙など、もらったことがない。
そう、もらったことなどないのだ。
彼女と直接言葉も肌も交わした仲であるというのに、手紙をもらったことなどただの一度もない。
ふらりとどこかへ旅立ってしまえば、あとは糸の切れた凧のようにこちらから連絡を取ることは難しい。
暁を経由すれば捕まえることができるが、彼女から連絡があるときは彼女が直接会いに来るときだけだ。
なぜだ。
そんな考えで頭がいっぱいになり、オルシュファンは大事な友人とのその後の会話が全く頭に入らないままキャンプドラゴンヘッドへ戻った。
帰路の途中、砦内のレターモーグリに手紙の確認をしたが、当たり前のように彼女からの手紙は届いていない。
なぜだ。
いや、もしかしたら彼は、フランセルは才あふれた人物だから、彼の各手紙は面白く、思わずやり取りを続けてしまうのだろう。筆まめだとほめるということは、筆まめだと感じる程度の回数をやりとりしているはずだ。
きっとそうだ、彼の手紙が愉快だから、百もつい返事を書いてしまいたくなるのだ!きっとそうだ!
手紙のやり取りだって、暁経由でやっているのだろう。
うむ!さすがイイ友人たちは手紙までうまい、実にイイ!!
レターモーグリに向かって力いっぱいうなずくオルシュファンに、レターモーグリはくぽ、と首を傾げたのだった。
翌日、雪の多いこの地域には珍しく、よく晴れていた。
鮮やかな空の青と、真っ白い雪原のコントラストが実に美しく、実に胸躍る朝だった。
完了した書類を届けるためにイシュガルドへ出かけるには絶好の日和だ。
予定よりも早く砦を出発したオルシュファンは、時間によゆうがあったので、茶葉の礼を兼ねてエドモンのもとを訪れた。
そこでも事件が起こったのだ。
エドモン宅のテーブルの上に、無造作に置かれた手紙。
その差出人が、百。
「父上?!これは?!!」
「なんだオルシュファン、帰宅したならただいまが先だろう。帰宅早々大声上げ追って。」
隣の部屋の扉があき、渋面のエドモンが現れた。
「父上、これは?!」
普段は父からの苦言を無視することなどしないのだが、机の上に置かれた封の切れた手紙を指さし問うことをやめられない。
「ああ、そんなところに置いていたか。昨日百殿から届いてな。ご健勝のようでなによりだ。」
「百から?!」
「朝っぱらからお前は本当に元気がいいな。そこに書いてある宛名の通りだ。彼女、私のことを手紙では父上殿、と呼ぶのだ。いじらしいじゃないか。オルシュファン、大事にするんだぞ。お前も、ちゃんと手紙には返事を書くんだ。」
激励のつもりだろうか、固まったオルシュファンの肩を2度たたいたエドモン。
オルシュファンは、開いた口がふさがらず、手紙とエドモンの顔を交互に見た。
返事も何も、私の手元には、そもそも、手紙が!とどいていない!!
なぜだ!!!!!!!!!!!
頭の中がその言葉でいっぱいだった、なぜだ、なぜだと叫びだしたい気持ちをぐっと抑え、エドモンにひとしきりの茶葉の礼などを済ませ、騎士団へ向かう旨を伝えて屋敷を出た。
屋敷を出るころには町もにぎやかな時間帯だ。
天気がいいからか、気持ち人が多い街中を、騎士団総本部へ向かって叫ぶように走り出した。
誉れ高き騎士団の一因が、しかもキャンプドラゴンヘッドを守っているはずのオルシュファンが全力疾走で駆け込んでくるのを見た団員たちは、何事だろうかと顔を見合わせていたが、オルシュファンは気づかなかった。
「なぜだ、なぜだとおもうアイメリク?!」
執務室で書類と向き合っていたアイメリクが、気遣いも遠慮もなく目の前の人物の声を遮るためにあからさまに両手で耳をふさいだ。
「知らん!!!!!!!」
耳をふさいでも脳内に響く声に負けじと、耳をふさいだままのアイメリクが腹から力いっぱい否定を叫ぶ。
普段冷静にふるまう彼が、このような大声を上げることに驚いて、ルキアがぎょっとアイメリクをみた。
「なぜ知らない??!!!!!!!!」
壁が震えんばかりの大声が続く。
体を鍛えているだけあって、その筋肉をぜいたくに使った叫び声は実に響く。
実にうるさい。
座って執務に当たっていたアイメリクは、嵐のようなオルシュファンの到来に、耳をふさいだまま立ち上がると、
「少し落ち着け!!!!」
こちらも壁を破らんばかりの声量でオルシュファンを怒鳴りつけた。
それでやっと我に返ったのか、オルシュファンの肩から力が抜ける。
「朝からなんだ、仕事の邪魔をしに来たんなら帰ってくれないか。」
「あ、ああ、すまない……。」
オルシュファンの声量が通常に戻り、アイメリクは再び椅子に腰を下ろした。
オルシュファンも本来の目的であった報告書をアイメリクに手渡しながら、かくかくしかじかと事の経緯を話し始める。
だんだん話が、公の席であることをはばかられるような私的なことに移っていったので、途中目配せをしてルキアを退室させた。
「なぜ私にだけ手紙が来ないのだ、もしかして、先日…私が興奮のあまり三擦り半でいってしまったから嫌われたのか?」
執務机に手をついてうなだれるオルシュファン。
聞きたくもない友人の夜の話をとつぜん聞かされてしまったアイメリク。
なんと慰めたらいいものか、そもそもこれは慰めるべきなのだろうか。
オルシュファン越しに誰も入ってこない扉を眺めながら思案に暮れる。
しばらく考えたのち、毒にも薬にもならぬ言葉でもかけてやろうと、アイメリクは口を開けた。
「その程度で途切れる絆ではないだろう。お前は、彼女をその程度の人間だと思っているのか?」
真顔を保ってみせるのがつらい。
なんなら指をさして笑ってやったほうが簡単だ。そう思いながらも大事な友人のために真顔を保つアイメリク。
「いや、私は……彼女との絆を疑うことなど……」
「だったら、気にするな。今までと変わらんのだろう、状況は。」
「しかし!私にだけ手紙が来ていないと思うと、胸が、締め付けられるように苦しいんだ!これは、これはなんなのだ。」
それは嫉妬だ、というのまでは面倒で口を閉ざした。
甲冑の上から胸を押さえて、実に苦しげな顔をしている。
若くして要塞一つを任される男でさえこうなのだ、恋とは実に人を狂わせる。恐ろしいものだと内心ため息をついたところで、執務室の扉が開いた。
「お取込みのところ、失礼します。百殿からお手紙が」
扉の外に控えていたルキアが1枚の封筒をもって入ってきた。
なんとも間の悪いことだ。アイメリクは手で顔を覆って天井を見上げた。
オルシュファンは筆舌に尽くしがたい表情でルキアの手にある手紙をにらんでいる。
確かに冒険者からの手紙となれば、重要な内容が書かれていてもおかしくはない。取り込み中であっても、取りえず渡すというルキアの判断は実に正しい。
今でなければ。
オルシュファンの視線を纏いながらアイメリクの手元にやってきた手紙。
ルキアが退室するのを確認してから、文字通りさすような視線に耐えつつ封を切る。
オルシュファの視線を遮るように中身を一読して、ため息をつくと、これは彼女に悪いかもしれないと思いながら、その手紙をオルシュファンに渡した。
「読んでみろ。」
オルシュファンは動揺しながらも受け取り、手紙を読んだ。
間が悪いと思ったが、よかったかもしれない。
彼女の手紙は、オルシュファンの近況を訪ねたり、前回オルシュファンと会った時の思い出をつづったりと、オルシュファン一色の手紙だったのだ。
こういう手紙はよく来る。
要するに、彼女はオルシュファンののろけを、おそらく無意識なのだろうが、手紙にしたためてわざわざ送ってきているのだ。
最初蒼白だったオルシュファンの顔面が、だんだん血の気を取り戻し、最後は真っ赤になりながら、アイメリクに手紙を返した。
「わかったか、こんな内容を、お前本人にかけると思うか?」
「思わない……」
入室してきたときの勢いはどこへやら、オルシュファンの声はいつになく小さくなっていた。
「騒がせて、すまなかった。」
そういうと、オルシュファンはゆにゃゆにゃと敬礼し、部屋を去った。
これで一件落着と相成ってくれ、これ以上色恋のあれこれに巻き込まれるのはごめんだ。
静かになった執務室で、オルシュファンは再び仕事に戻った。
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その日からさらに1か月ほどが過ぎたとき、オルシュファンのもとに百がやってきた。
「オルシュファーン!久しぶり!」
「百!相変わらずいい体じゃないか!元気そうで何よりだ!」
「オルシュファンこそ!」
花のような笑顔。
オルシュファンはその笑顔に安どを覚えつつも、先日アイメリクから見せられた手紙を思い出して、急に赤くなった。
そんな彼の様子に百が首をかしげる。
「なになに、どうしたの?そんなに私、イイ体になった?」
「そうだな、それもあるが、うむ!聞かぬは一生の恥だ。」
決意するように何度かうなづいたオルシュファン。
「なぜ、百は私に手紙を書いてくれぬのかと聞いてみたくなった。」
今度は百が目を丸くして、少しだけ赤くなった。
基本的に目をそらさずに話す彼女らしくなく、視線を泳がせ最終的に斜め下を見る。
それに合わせてピンと跳ねていた耳が、しおっと下を向いた。
「オルシュファンに手紙書こうとすると、会いたくて仕方なくなっちゃうから……」
はちきれそうだ。
オルシュファンは体の内から満ちる幸福感をそう感じ、思わず百を抱きしめずにいられなかった。
脈絡なく抱擁されたことに驚きながらも、百はオルシュファンの背中に腕を回して抱きしめ返す。
「今度、書いてみるね。」
恥ずかしそうに呟いた彼女の声は、オルシュファンの胸板に吸い込まれていった。
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