ツイッターでぼちぼち呟いている明石とオリジナル審神者♀のお話。
明石が女性に対してちょっとトラウマがあるって言う設定があります。
超捏造設定があるので、何でも許せる方向け。
二人の馴れ初めはぼちぼち書いていきたいと思ってます。色々分かりにくい感じで申し訳ない。
【明石のぼんやりトラウマ】
その、女なのにいつも力強く張った硬そうな肩に触れたいと思った。
きっと彼女は拒絶しないのではないだろうか、そう思いながら、無意識に手が持ち上がる。
持ち上がってしまえばあとは意識的に、彼女の体温を求めて肩に手を、置こうとした瞬間に、指先から突然闇があふれ出す。
もうすっかり過去になっていたはずだった記憶。
むせ返るような女の匂い、縋る様な甘い嬌声、もっととねだる女の白い指先が絡みつく。
首筋に、背中に、汗をかいてねっとりと吸い付く体温が、まるで今まさに肌を舐めているかのように蘇り、どっと汗が噴き出した。伸ばしかけた手を引き寄せて、両腕で体温が逃げていく己の体を抱いた。
「明石?!」
審神者は、目の前でみるみる青ざめていく男の名を呼んだ。
呼吸が浅く、荒い。
額には脂汗が滲み、癖のある髪の毛が汗で顔に張り付いている。
今男に手を伸ばしてはいけない。
彼が今恐れているのは女の体温なのだ。
それがだれであれ、触れてしまえば状態が悪化してしまうだろう。
「明石、しっかりして」
彼の目に、自分は映っていない。
浅く荒い呼吸を繰り返す彼を早く楽にしたかった。
「明石、明石、明石国行!」
意識を過去の記憶へ引きずられていく男を、必死でこちらに呼び戻そうと名前を呼びつづける。
やがて男は体を震えさせながらも、視線をこちらへよこした。紙のような顔の中で、不安気な瞳がこちらを見る。血の気の失せた唇が、
「あるじ、はん」
と声を乗せずに動いた。
「私よ、明石、大丈夫。落ち着いて、大丈夫」
明石はひょろりと長い体を丸め、自分で自分を抱いたまま、何度も小さく頷いた。
審神者がゆっくり息をすってはいて、と宥める様に言う声にあわせて、胸に手を当て、苦労して深く呼吸を繰り返す。
やがて身体の震えが収まって、明石はその場にしゃがみ込んだ。
明石に視線を合わせ、審神者もしゃがむ。
彼女の視線が同じ高さに来た気配を感じたのか、明石は顔を審神者に向けた。
また汗を一筋流して
「手ぇ、貸してもらえまへんか」
発した声も震えていた。
審神者が黙って手を差し出すと、明石は冷たい両手で審神者の手を取り、その指先に額をのせた。
大丈夫、大丈夫と繰り返すのは、恐らく己に言い聞かせているのだろう。
手を抱く指先も、指先に触れた額も、呼吸をしているものの体温とは思えないほどに冷たかったが、やがて温度を取り戻していった。
PR