ツイッターでぼちぼち呟いている明石とオリジナル審神者♀のお話。
明石が女性に対してちょっとトラウマがあるって言う設定があります。
超捏造設定があるので、何でも許せる方向け。
二人の馴れ初めはぼちぼち書いていきたいと思ってます。色々分かりにくい感じで申し訳ない。
明石が女性に対してちょっとトラウマがあるって言う設定があります。
超捏造設定があるので、何でも許せる方向け。
二人の馴れ初めはぼちぼち書いていきたいと思ってます。色々分かりにくい感じで申し訳ない。
【審神者がよっぱらって帰ってくる】
風呂上がりの蛍丸と愛染の髪にドライヤーを当ててやっていた明石の視線が、ついと玄関の方へ向いた。
風呂場から玄関が見えるのではない。
玄関の方角へ視線を向けただけだ。
それは一瞬のことで、また蛍丸の頭に視線を戻し、引き続きドライヤーを当ててやる。
すると、隣から小さい手が伸びてきて、明石の手からドライヤーを奪った。
先に乾かし終わった愛染だった。
愛染はドライヤーのスイッチを切ると、明石を見上げてにかっと笑う。
「後は俺に任せて、行って来いよ」
「行って来いって、どこに行けって言うんや」
ため息まじりに笑って、ドライヤーを取り返そうとすると、蛍丸も、明石を仰ぐように振り返った。
「そうだよ、行ってきな、俺たちだって自分のことくらい自分でできるから」
「自分がしたくてやっとんのや、ほら、返して」
蛍丸の生乾きの頭を撫でると、蛍丸が頭を左右に振った。
「もー、国行!子離れしないとみっともないぞ」
「そうだぜ、さっさといかねぇと長谷部さんに美味しいとこ取られちまうぜ」
「美味しいところってなんやねん」
しらばっくれようとする明石の背中を、蛍丸と愛染の二人がかりで押して脱衣所から廊下へ押し出した。ほらいけいけと、手を振られ、渋々、と言った体で玄関の方へ歩き出す。
最初は渋々、足を引きずって見せたが、やがて足早になって、最後は自然駆け足になっていた。
明石が玄関へ向かう途中、長谷部を連れた審神者の姿が見えた。
審神者の姿を視界に捕らえて、歩みをゆるめる。
あえてゆっくりと距離を詰める。
ふわりと酒の香りがした。
「おーおー、ええ匂いがしますなぁ」
今日審神者は、会議とその後の懇親会と言う名の飲み会に参加してきていた。
近侍同伴の会議で、いつもであれば歌仙を連れるのだが、今日は立候補した長谷部が初めて同伴していた。
酒で顔を赤く染めた審神者が玄関で靴を脱ごうとしてふらつく。
長谷部がとっさに支えようとした間に入って、審神者を支えた。長谷部が、差し出したもののやり場をなくした手で明石の肩をパシリと叩く。
「自分やったら、こないになるまで飲ませへんで」
「よく言う。散々誰かさんの話を聞かされた俺の身にもなってみろ」
長谷部が押しつけてきたのは水が入ったペットボトルだった。後は任せると言うことらしい。
審神者は明石の支えに頼りながら、よたよたと玄関を上がった。
「主はん、しっかりしぃや」
審神者が明石を見上げてへらりと笑った。
いつも隙無くしまった表情とは異なる、何とも油断した顔だ。
こんな顔で他の男と並んで歩いていたのかと思うと、腹の底が煮えるような思いがしたが、
「ただいま」
目を細めて笑った彼女が、明石の肩に額を乗せて、動きを停めたものだから、明石も一緒に固まった。
明石が固まってしまったのをよそに、審神者はじわじわと体重を明石に乗せてきた。
うんともすんとも言わない、それどころか、規則正しい呼吸が聞こえてきた。
「主はん?」
恐る恐る声をかけるが返事がない。
彼女の両肩を身長につかんで顔をのぞき込むと、案の定、審神者は眠っていた。
明石は力が抜けてその場に座り込みたいのをぐっとこらえて、審神者の背中を軽く叩いた。
「ほら、こないなとこで寝んといてください」
「ん~」
「ん~、じゃないで。ほら、歩けるやろ」
「ん~…」
審神者は何とか体を話して、一歩、二歩、前進したが、ぴたりと足を止めると廊下の壁にもたれて眠りだした。
「あ~、もう!知らんで!なんちゅう人や」
明石はヤケクソに頭をかくと、審神者をひょいと抱え上げて、彼女の部屋へ向かい歩き出した。
彼女の体は見た目よりもずしりと重たい。
審神者になっても鍛錬を怠らないから、筋肉が多いのだと明石は知っている。こんな状態を誰かに見られるのは好ましくない。
明石は足を早めた。各部屋の襖の向こうから、夜特有の和やかな喧噪が聞こえてくる。
審神者の部屋がある離れに渡る廊下に出ると、喧噪が徐々に遠ざかった。
すると、審神者が何か、ぼやいているのが聞こえて足を止めた。
「なんや、起きたんですか」
顔をのぞき込んでも瞼が持ち上がる気配はなかった。
唇が、物言いたげに小さく開いた。
「あ、かし……ね…」
同じ言葉を繰り返しているようで、聞き取るために耳を寄せる。
「明石、ごめんね、私が女で、ごめんね」
どうやら、そのようなことを繰り返しているようだった。明石は、困ったように頭をふって、再び歩き出した。審神者を部屋に連れて行き、歌仙か長谷部が先回りして用意したと思われる寝床に彼女を寝かせた。
布団を掛けてやると、女の手が伸びて、明石の服の裾をつかんだ。
「なんやそないなベタなこと、似合いまへんて」
明石は審神者の頭を撫でて、額の前髪を避けると、夜気にさらされた白い額に軽く唇を落とした。
「詫びんのは自分の方や」
また静かに寝息を立て始めた審神者の、裾を握った手を両手で包んでそっと開くと、思いの外簡単にはずれた。惜しいような、安堵したような、複雑な思いをため息で逃がして立ち上がる。
「ほな、おやすみなさい」
彼女を起こさないように、部屋を去った。
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