ツイッターのタグで、台詞リクエストをトシキさんに頂いて書きました。
ミスフルの牛尾×虎鉄です。
若干未来捏造。二人が大学生しています。
なぜなら!!!!そういうのが!!!!すきだから!!!!!!
ミスフルの牛尾×虎鉄です。
若干未来捏造。二人が大学生しています。
なぜなら!!!!そういうのが!!!!すきだから!!!!!!
コンビニから虎鉄の家に戻ってくると、虎鉄が炬燵に入ったまま仰向けに眠っていた。
まさか初めて訪問した日にお遣いに行かされ、挙句帰ると家主が寝ているとは思わなかった。
大学に進学した虎鉄が一人暮らしを始めたことを知ったのは、この年の春だった。
牛尾が高校を卒業してから一年間、あえて連絡を取らなかった彼から、この町に住むことになりましたと電話があった。
久しぶりに鼓膜を震わせた虎鉄の声に、花冷えした肌が色づいて行くのを感じた。
気心の知れた部活仲間だったこともあり、二人は時折会うようになった。
もちろん牛尾には友人がいたし、虎鉄も社交的な性格だから、見知らぬ町に溶け込んで行くのも早かった。
それでも二人で待ち合わせてどこかに出かけるのは続いていた。
秋の終わりが近づいた頃、虎鉄が炬燵を買ったと言った。
「そうなんだ、僕は炬燵、使ったこと無いなぁ」
すっかり食べなれたマクドナルドのポテトをつまみながら答えると、虎鉄が立ち上がらんばかりの勢いで前のめりになった。
「炬燵、最高ですYo!!一回使ったらやめられなくなりますかRa!今度遊びに来てくだSaい!」
そういうわけで、虎鉄の家に初めて遊びに来た。
その会話をしてから随分時間がたってしまったのは、虎鉄が「牛尾さんをあげられる状態じゃないんDe」と言って、部屋を片付けるために丸一ヶ月の時間を求めたからだ。
当初彼の家がどのような有様だったのかは知らないが、牛尾が扉を開けると、一ヶ月かけて片付けたに相応しく、部屋の名かな整然として小奇麗だった。
炬燵の上に用意された籠に入ったみかんが、虎鉄いわくマストアイテムらしい。
二人で炬燵に入り、テレビをつけてただだらだらと会話ともいえない会話を交わしていたが、唐突に虎鉄が「アイスが足りませんNe」と言い始めた。
「アイス?みかんじゃなくて?」
いかにも甘そうに、実と皮の間に空間がある蜜柑の皮を剥きながら牛尾が答えた。
虎鉄が蜜柑を机の上で転がしながら頷く。
「みかんはマストアイテムですけDo、アイスは贅沢品なんですYo」
「みかんもおいしいよ」
「この暖かい炬燵でぽかぽかに温まった体にキンキンのアイスが最高に染みるんですYo」
拳を握って熱弁する虎鉄の言葉に、なるほどそれはおいしいそうだと頷いた。
ところが残念なことに、虎鉄の冷蔵庫には、アイスクリームは入っていなかった。
料理をほとんどしないと言う言葉の通り、冷凍庫の中はレンジで暖めれば食べられる、チルド商品で一杯だった。
この寒空のなか、どちらが買いだしに行くかをじゃんけんで決め、客人であるはずの牛尾が負けてしまったのだった。
牛尾さんが選んだのならなんでもいいでSu、と言って炬燵に入ったまま手を振っていた虎鉄が、帰宅すると炬燵に入ったまま仰向けになって眠っていたのだ。
牛尾は買ってきたカップアイスクリームを炬燵の上に置いた。
溶けないうちに起さなければと虎鉄の顔を覗き込む。
無防備に少しだけ口をあけて寝息を立てる虎鉄の顔は、いつに増して幼く見えた。
起そうとして彼の肩に向かって伸ばした手を、少しためらって顔の横についた。
寝息が届きそうな距離まで覗き込む。
心臓が、痛いほどに暴れていた。
「好きだよ・・・」
ぽろりと吐息のように零れた言葉は、眠っている彼の耳には入らないだろう。それでも、床についた手が小さく震える己の臆病さに苦笑した。
「こんな事言ったら、君がどんな顔をするか見てみたかったんだ」
体温が届きそうな距離、それでも肌が触れない距離で目を閉じる。
すると、ごつん、と額に何かが当たった。
驚いて目を開けると、目の前に、本当に近すぎて認識できないほどの距離に虎鉄の目があった。
ぶつかったのは虎鉄の額で、いつの間にか目を覚ました虎鉄が牛尾の首に手を回して、額をぶつけていた。
「牛尾サン、俺も、アンタがいたからこの町に来たんですYo」
「え・・・?ちょ、虎鉄君?!」
全身の血が沸騰する。
冬の冷たい空気にしんまで冷えていたはずの体から、汗がにじみ出る。
「俺も、アンタが好きですYo。こんな事言ったらどんな顔するか、見てみたかったんDa」
虎鉄が牛尾の鼻先にキスをした。
「今度は、目を見てちゃんと言ってくだSaい」
虎鉄の目が、笑う。
牛尾はもう耳の先まで真っ赤だった。
「好き、好きだよ、虎鉄君」
せっかく買ってきたアイスクリームが、食べる頃には溶けてしまいそうだ。
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