半兵衛さまと毛利が女の子設定。
女を隠して男として生きているオスカル仕様。
ねね←慶次←半兵衛♀
↑
秀吉
こんな感じの片想い関係。
だらだら@nullしてたのをだいたい辻さん用にまとめてみただけ。
女を隠して男として生きているオスカル仕様。
ねね←慶次←半兵衛♀
↑
秀吉
こんな感じの片想い関係。
だらだら@nullしてたのをだいたい辻さん用にまとめてみただけ。
最近どうしたとやたらに背の高い慶次が問う。
どうもこうもあるものか、ひたすらに気分が悪いのだよ、すこぶるね、
毒づく言葉を飲み込んで、変わりの言葉を探す。
知識を溜め込んだ思考回路をかき混ぜる。
ねえ慶次、君は僕を好いているかい?
男は事も無げに笑う。太陽のように笑う。
笑って光に弱い僕の肌を突き通し、もっと深くで赤く疼く塊を貫き通して背を抜ける。
ああ、好きだよ、半兵衛。当たり前だろ。
じゃあ、慶次、愛しているかい?
鍛え上げた顔の筋肉が震え出すのを全力で押さえる。喉の奥が焼けるようだ。
愛しているとも!
実に大袈裟に両手を広げる。そうすると益々大きい体が揺れて首を傾げる。でかいくせに犬のようだ。
いきなりどうした半兵衛、何かあったか、
いや、そうじゃないよ。どうも最近君たちが桃色だからからかってみたかっただけさ。
愛していると紡いだ、固そうな唇が照れて緩む。
君の言う僕への愛は親愛で、僕の言う君への愛は肉欲だ。
どうせならいっそ本当にこの身が頑なに骨張った男の体であったのならば、潔く諦められただろうか。
ねえ慶次、
ん、なんだい
身の内から甘苦しい桃色を醸し出した男に、なんでもないと首を振る。
君は、僕が女だと明かしたら、僕に恋をしてくれたかい。 喉のちょっと下で悲鳴が上がる。
隠さなければと背中を向けて色付く空気から逃げ出した。
これはこれはなんとも憐れな女だ
燦々と照る太陽に照らされながらその身に夜だけまとったような男が、実に愉快そうに華奢な男装の女を見下ろした。
その気配などではなく、一目で女と断定された事に体が動かない。
とっさに回りに目配せし、知人が居ないことを確認してようやく安堵したところで、無遠慮な固い手が細い顎を掴んだ。
愉快をたたえたくらい瞳を睨み返す。
男は愉しそうに眉をあげて、松永だ、好きに使うがいい そう挨拶した。
その名をどう使えと言うのか、兎に角脳に焼き付けて、早く戻り調べたい。
睨み続けた目の奥に何を読んだのか、松永はいやにあっさり手を離した。
一歩下がった男との間に初夏の爽やかな風が吹き抜ける。
その代わり、君には愛をくれてやろう。何、君が望むものとは些か異なるだろうが、美しいものを正しく愛するのは好きでね。卿が死んだら来るがいい。それまで好きに使いたまえ。
黒い羽が足元から舞い上がり、忽然と男の姿が消えた。
月の美しい夜、ひっそり根城を抜け出して、日輪を愛でるその人のところへ潜り込んだ。
満月に少しばかり満たない夜。
巫女装束に身を包み、ご祈祷に、そう言えばするりと中に通される。
こんばんは、お嬢さん
こんばんは、乙女
月明かりだけを浴びて白い肌が益々青い毛利、彼女の隣に茶道具が一揃え。
すでに緑の濃茶が入った茶碗がしんと居座っていた。
ついぞ先日まで互いに互いをお嬢さんと呼んでいたのに、ここしばらく毛利は半兵衛を乙女と呼ぶ。
乙女ならば日輪に身を捧げる彼女の方が余程似合いでは無いかと抵抗したが、不治の病を煩う健気な乙女だ そう言い放った毛利の言葉に次を返せず呼ばせるままにしている。
置かれた茶を黙って口に流し込む。
今日の茶はいつもよりいくらか甘い。
盗み見た毛利は、土産の可愛らしい茶菓子を可愛らしい口許に運んでかじっていた。
半兵衛が茶碗を口許から膝の上に戻すのを待っていたかのように、それで、と毛利は口を開いた。
それでなんだい、
茶を膝にのせたまま、それ以上言葉を続けない同胞に問う。
一口二口かじった菓子を、ぽいと口に投げ込んだ。
それで、どうした
半兵衛は何度か瞬きして、表情を崩した。
今日はやたらどうした、と訊かれる日だ。
もとより隠せなかった桃色が、滲み出ただけだろう、桃色桃色、ああ醜い。
歌うように笑う、その口許に二つ目の菓子。
昼の明るい時間には互いに腹を探り合う仲だが、何の因果か彼女も彼女も男として生きることを選んだ同士、こうして稀に密やかな夜の茶会を開く。
自らが呼び寄せたとは言え、この不穏な情勢、いつまでこうしていられるのやら。
そんなに僕は醜いかい
いや、乙女は誰がどう見ても美しいの類だ。問題は心持ち、覚悟を決めたのなら下手に誰かを思うといけない。
桃の形をした菓子を半分に悪と、中から黒々と甘い餡が顔を出す。
愛らしい細工に包まれた黒々と甘い中。割った片方を半兵衛に渡す。
見よ、こういうことだ。
掌にコロンと収まった小さな菓子。弾みで餡が零れ落ちた。
なるほど、そういうことかと唇が歪む。
僕だってね、もっと密やかに心が親愛に変わるのを耐えるつもりでいたんだよ。
うまく隠しとおせるつもりだった。四角い男物の着物にこの身ごとなにもかもを包み込んで、隣に居ればやがて穏やかにおさまる胸のうちをひっそり抱いていたのに。
思ったよりずっと早く、僕らだけの世界に女が入り込んできただけさ
いかにも平凡な顔つきで、丸い鞠玉のようなあまやかさで、守られるのが当たり前のような顔をした、嫌味なまでの女の子。
秀吉ばかりか慶次までその甘い香りに引き寄せられてしまった。
知らず噛んだ奥歯が小さく軋む。
どこの馬の骨とも知らぬ女に拐われて納得いかぬか
そんなつもりは
我にまで取り繕ってどうする。同胞。
顔をあげると、いつになく優しい笑顔を月明かりに浮かべる毛利。青白い月の光のなか、その笑顔は実に悲しい。
腹をくくった女の顔だ。
ねえ毛利、僕はどうしたらいいんだろうね
我なら要らぬ駒は
く、と自分の喉を切り裂く仕草。物騒だねと笑ったのは、毛利についてではなく、波打つようにときめいた自らの黒々した芯を、だ。
そんなことより毛利、松永という男をどう思う。
月夜に実に似合わぬ問だ、半兵衛…そうだな、敵に回せばややこしいが、うまく使えば便利そう。そんな諸刃の剣なら、
我は使わぬ、かい
そうだ。外れた時に誤魔化せるほどの力はまだない。
月夜の会合が嘘のようにあかるい夏の昼間、半兵衛は男へ宛てて文をしたためた。
したためたその晩、本人ではなく無口な忍が迎えに来た。
どこをどう走ったのか記憶できないほどの速さを軽いとは言え、人一人抱いたまま忍は駆けて、たどり着いた屋敷に松永が待っていた。
やあお嬢さん、こんな早く再開できるとは、君は思ったより随分賢いらしい。
お褒めに預かり光栄です、とでも言えばいいのかい。
愉快そうに目を細めるその男、やはり夏の青い空より夜の冷たい色の方が似合いだった。
卿は顔に似合わず面白いことを考える。実に興味深い。
それは承諾と言うことで理解させてもらうよ。
さすがに賢い。おいでお嬢さん、まずは報償は先払いだ。
金なら持ってきていない、君の忍が急いたから。
金より良いものをもらおう。お嬢さん、男のおとしかたを教えようか。
半兵衛は細い喉を上下させた。男の無骨な指が女の白い頬に触れる。
それとも想い人以外には触れさせない主義かね。
長い睫毛を何度か揺らし、首を左右に振る。
どうせ触れてもらえない身だ、好きにしてくれたまえ。
男の唇がくいと上がる。実に愉快そうでそれはそれは心地よいほどの潔さだ。
その唇が首筋に触れて、女はそっと瞼を下ろした。
それはほとんど自己催眠のようなものだった。男が肌を這った痕は一つも残っていない。ただ足の間がわずかに痛む程度だった。
その唇の初めてくらい、惚れた男にくれてやれ、
服を来て髪を整えた半兵衛を見送る男は確かに、唇を重ねることだけはしなかった。
女遊びの決め事なのだと嘯いていたが、今さらそんなことはどうでもいい。
このまま身の内でどろどろと芳醇な甘い薫りを溢れさせ、黒々と心が波打った、その波に任せてしまえばいい。
痛みと痛みとを天秤に乗せて、どうせどちらも痛むのならば、より軽くなる方がいい。
じゃあ、あとは頼むよ
忍びに体を預けながら振り替えると、松永がいつも通りの笑みを浮かべたまま頷いた。
次の瞬間足音もなく視界が走り出した。
半兵衛を部屋に届けると、まるで幻のように忍びは消えた。
夏の湿気で心なしか重たい褥に身を横たえる。空はまだ白んでいない。
嫌に優しく掻き回された下腹部をそっと押さえて目を閉じると、ゆらゆらゆらぐ微睡みの闇。
微睡みに揺られて夢に溺れる直前、同胞の笑顔が瞼を過った。
僕もやがて彼のように笑うことができるのだろうか、わからないけれど。
腹の上で重ねた手、指をきゅ、と絡み合わせて握った。
どうもこうもあるものか、ひたすらに気分が悪いのだよ、すこぶるね、
毒づく言葉を飲み込んで、変わりの言葉を探す。
知識を溜め込んだ思考回路をかき混ぜる。
ねえ慶次、君は僕を好いているかい?
男は事も無げに笑う。太陽のように笑う。
笑って光に弱い僕の肌を突き通し、もっと深くで赤く疼く塊を貫き通して背を抜ける。
ああ、好きだよ、半兵衛。当たり前だろ。
じゃあ、慶次、愛しているかい?
鍛え上げた顔の筋肉が震え出すのを全力で押さえる。喉の奥が焼けるようだ。
愛しているとも!
実に大袈裟に両手を広げる。そうすると益々大きい体が揺れて首を傾げる。でかいくせに犬のようだ。
いきなりどうした半兵衛、何かあったか、
いや、そうじゃないよ。どうも最近君たちが桃色だからからかってみたかっただけさ。
愛していると紡いだ、固そうな唇が照れて緩む。
君の言う僕への愛は親愛で、僕の言う君への愛は肉欲だ。
どうせならいっそ本当にこの身が頑なに骨張った男の体であったのならば、潔く諦められただろうか。
ねえ慶次、
ん、なんだい
身の内から甘苦しい桃色を醸し出した男に、なんでもないと首を振る。
君は、僕が女だと明かしたら、僕に恋をしてくれたかい。 喉のちょっと下で悲鳴が上がる。
隠さなければと背中を向けて色付く空気から逃げ出した。
これはこれはなんとも憐れな女だ
燦々と照る太陽に照らされながらその身に夜だけまとったような男が、実に愉快そうに華奢な男装の女を見下ろした。
その気配などではなく、一目で女と断定された事に体が動かない。
とっさに回りに目配せし、知人が居ないことを確認してようやく安堵したところで、無遠慮な固い手が細い顎を掴んだ。
愉快をたたえたくらい瞳を睨み返す。
男は愉しそうに眉をあげて、松永だ、好きに使うがいい そう挨拶した。
その名をどう使えと言うのか、兎に角脳に焼き付けて、早く戻り調べたい。
睨み続けた目の奥に何を読んだのか、松永はいやにあっさり手を離した。
一歩下がった男との間に初夏の爽やかな風が吹き抜ける。
その代わり、君には愛をくれてやろう。何、君が望むものとは些か異なるだろうが、美しいものを正しく愛するのは好きでね。卿が死んだら来るがいい。それまで好きに使いたまえ。
黒い羽が足元から舞い上がり、忽然と男の姿が消えた。
月の美しい夜、ひっそり根城を抜け出して、日輪を愛でるその人のところへ潜り込んだ。
満月に少しばかり満たない夜。
巫女装束に身を包み、ご祈祷に、そう言えばするりと中に通される。
こんばんは、お嬢さん
こんばんは、乙女
月明かりだけを浴びて白い肌が益々青い毛利、彼女の隣に茶道具が一揃え。
すでに緑の濃茶が入った茶碗がしんと居座っていた。
ついぞ先日まで互いに互いをお嬢さんと呼んでいたのに、ここしばらく毛利は半兵衛を乙女と呼ぶ。
乙女ならば日輪に身を捧げる彼女の方が余程似合いでは無いかと抵抗したが、不治の病を煩う健気な乙女だ そう言い放った毛利の言葉に次を返せず呼ばせるままにしている。
置かれた茶を黙って口に流し込む。
今日の茶はいつもよりいくらか甘い。
盗み見た毛利は、土産の可愛らしい茶菓子を可愛らしい口許に運んでかじっていた。
半兵衛が茶碗を口許から膝の上に戻すのを待っていたかのように、それで、と毛利は口を開いた。
それでなんだい、
茶を膝にのせたまま、それ以上言葉を続けない同胞に問う。
一口二口かじった菓子を、ぽいと口に投げ込んだ。
それで、どうした
半兵衛は何度か瞬きして、表情を崩した。
今日はやたらどうした、と訊かれる日だ。
もとより隠せなかった桃色が、滲み出ただけだろう、桃色桃色、ああ醜い。
歌うように笑う、その口許に二つ目の菓子。
昼の明るい時間には互いに腹を探り合う仲だが、何の因果か彼女も彼女も男として生きることを選んだ同士、こうして稀に密やかな夜の茶会を開く。
自らが呼び寄せたとは言え、この不穏な情勢、いつまでこうしていられるのやら。
そんなに僕は醜いかい
いや、乙女は誰がどう見ても美しいの類だ。問題は心持ち、覚悟を決めたのなら下手に誰かを思うといけない。
桃の形をした菓子を半分に悪と、中から黒々と甘い餡が顔を出す。
愛らしい細工に包まれた黒々と甘い中。割った片方を半兵衛に渡す。
見よ、こういうことだ。
掌にコロンと収まった小さな菓子。弾みで餡が零れ落ちた。
なるほど、そういうことかと唇が歪む。
僕だってね、もっと密やかに心が親愛に変わるのを耐えるつもりでいたんだよ。
うまく隠しとおせるつもりだった。四角い男物の着物にこの身ごとなにもかもを包み込んで、隣に居ればやがて穏やかにおさまる胸のうちをひっそり抱いていたのに。
思ったよりずっと早く、僕らだけの世界に女が入り込んできただけさ
いかにも平凡な顔つきで、丸い鞠玉のようなあまやかさで、守られるのが当たり前のような顔をした、嫌味なまでの女の子。
秀吉ばかりか慶次までその甘い香りに引き寄せられてしまった。
知らず噛んだ奥歯が小さく軋む。
どこの馬の骨とも知らぬ女に拐われて納得いかぬか
そんなつもりは
我にまで取り繕ってどうする。同胞。
顔をあげると、いつになく優しい笑顔を月明かりに浮かべる毛利。青白い月の光のなか、その笑顔は実に悲しい。
腹をくくった女の顔だ。
ねえ毛利、僕はどうしたらいいんだろうね
我なら要らぬ駒は
く、と自分の喉を切り裂く仕草。物騒だねと笑ったのは、毛利についてではなく、波打つようにときめいた自らの黒々した芯を、だ。
そんなことより毛利、松永という男をどう思う。
月夜に実に似合わぬ問だ、半兵衛…そうだな、敵に回せばややこしいが、うまく使えば便利そう。そんな諸刃の剣なら、
我は使わぬ、かい
そうだ。外れた時に誤魔化せるほどの力はまだない。
月夜の会合が嘘のようにあかるい夏の昼間、半兵衛は男へ宛てて文をしたためた。
したためたその晩、本人ではなく無口な忍が迎えに来た。
どこをどう走ったのか記憶できないほどの速さを軽いとは言え、人一人抱いたまま忍は駆けて、たどり着いた屋敷に松永が待っていた。
やあお嬢さん、こんな早く再開できるとは、君は思ったより随分賢いらしい。
お褒めに預かり光栄です、とでも言えばいいのかい。
愉快そうに目を細めるその男、やはり夏の青い空より夜の冷たい色の方が似合いだった。
卿は顔に似合わず面白いことを考える。実に興味深い。
それは承諾と言うことで理解させてもらうよ。
さすがに賢い。おいでお嬢さん、まずは報償は先払いだ。
金なら持ってきていない、君の忍が急いたから。
金より良いものをもらおう。お嬢さん、男のおとしかたを教えようか。
半兵衛は細い喉を上下させた。男の無骨な指が女の白い頬に触れる。
それとも想い人以外には触れさせない主義かね。
長い睫毛を何度か揺らし、首を左右に振る。
どうせ触れてもらえない身だ、好きにしてくれたまえ。
男の唇がくいと上がる。実に愉快そうでそれはそれは心地よいほどの潔さだ。
その唇が首筋に触れて、女はそっと瞼を下ろした。
それはほとんど自己催眠のようなものだった。男が肌を這った痕は一つも残っていない。ただ足の間がわずかに痛む程度だった。
その唇の初めてくらい、惚れた男にくれてやれ、
服を来て髪を整えた半兵衛を見送る男は確かに、唇を重ねることだけはしなかった。
女遊びの決め事なのだと嘯いていたが、今さらそんなことはどうでもいい。
このまま身の内でどろどろと芳醇な甘い薫りを溢れさせ、黒々と心が波打った、その波に任せてしまえばいい。
痛みと痛みとを天秤に乗せて、どうせどちらも痛むのならば、より軽くなる方がいい。
じゃあ、あとは頼むよ
忍びに体を預けながら振り替えると、松永がいつも通りの笑みを浮かべたまま頷いた。
次の瞬間足音もなく視界が走り出した。
半兵衛を部屋に届けると、まるで幻のように忍びは消えた。
夏の湿気で心なしか重たい褥に身を横たえる。空はまだ白んでいない。
嫌に優しく掻き回された下腹部をそっと押さえて目を閉じると、ゆらゆらゆらぐ微睡みの闇。
微睡みに揺られて夢に溺れる直前、同胞の笑顔が瞼を過った。
僕もやがて彼のように笑うことができるのだろうか、わからないけれど。
腹の上で重ねた手、指をきゅ、と絡み合わせて握った。
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