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[ 2024/11/25 06:19 | ]
【政三】胃液吐く三成【福岡CITY無配】
・1月22日福岡にて無配したお話。
・夜中にやっつけで書いた3時間クオリティ
・時間がなさすぎて色々説明不足。すみません。
それは本当に偶然だった。
 
 きしきしと床板のきしむ音。誰の部屋かは知らないが、夜の営みの気配がひしひしと聞こえる。肌に染みるほどの吐息がふすま越しに届くようだ。
 興味があったわけではない。
 むしろ、情事の類は出来るだけ関わりたくない。足早に立ち去ろうとした時、薄いふすまの向こうから聞こえた声。

「まさ、むね…さまぁっ」

 甘い甘い女の声。
 それに答えるように何かささやいているそれは、間違いなく。

 三成は足の裏から這い上がるように体温が消えていくのを感じた。こみ上げてくるものに耐え切れず、口元を強く抑え、廊下を引き返さず裸足のまま庭に飛び降りた。
 床板をきしませずに走る自信がなかった。
 幸い雨も無く乾いた地面は、三成の軽い足音をうまく吸い込んでくれて、お互いの熱に夢中であろう彼らの耳には届いていないようだ。
 どちらに向かえばいいのか、とにかく前も見ないまま庭を駆けて、行き当たった塀に体をぶつけてようやく止まった。
 足の力が抜けて、膝から崩れ落ちる。
 胃の辺りがやけるよう。
 内臓が大きくうねって、せり上げてきた酸味の強い液体が喉を焼いて口からこぼれる。 逆流してきた胃液をむせながら吐き出した。脳裏を女の声がよぎるたび、何度もこみ上げて唇が痛い。

 知っていたはずだ。
 彼は国主。子をなすために女を抱かなければいけない。
 一度、直接本人からも告げられたことがある。そのときは、やむなしと理解して、構わないと頷いたはずだ。
 それでも彼が女を抱いている場に遭遇して初めて、体がそれを全力で拒んだ。
 政宗の、少し自分より体温が高い手が触れる感触が蘇る。温かい手のひらから熱がうつって、三成の肌は火が這うように熱を持つ。
 たまらずもれた自分の声が、女の声と重なり、また吐き気がこみ上げてきた。内臓がうごめくのがわかったが、もう何も出てこない。
 息が詰まるばかりで、何度も何度も咳き込んだ。
 
 耳の奥がキンと鳴る。わずらわしさに頭を振りながら、ようやく立ち上がった。一瞬足下が揺らいで、塀に手をついて支える。
 見上げた空が白み始めていた。

【ままならぬ世に祝杯を】


三成の様子がおかしい。
まるで政宗の目を見ないのだ。声をかけても、「了解した。」「承知した。」「わかっている。」「必要ない。」凡そこの四通りの答を反射的に返してくるばかりだ。文脈など合ったものではない。
吐き捨てるように返事をして、足早に横をすり抜けていく。
もう一月も彼の指先にすら触れていない。
初めのころは、仕事が忙しく、政宗に構っている余裕が無いのだろうと気にとめなかった。
実際過去、彼に政務を任せた直後、彼が政宗の呼びかけにそっけない反応しか返さないということは多かったし、それから仕事が落ち着けばまた元のように会話を交わしていた。
しかし、今回はあまりに長すぎる。
さらに彼は政宗以外のものとはいつも通り言葉を交わすのだ。唇の両端を上げて笑うこともある。
それでも政宗が近付いたとたん、表情を凍らせて離れていくのだ。
今日に至っては姿を見ていない。
苛々と足を踏み鳴らしては益々逃げる。あえて静かに心穏やかにと言い聞かせて屋敷内を探し回った。

「三成!」
ようやく彼を見つけたのは暗い書庫だった。
室内に響いた政宗の声に、三成の肩がびくりと跳ねる。その仕草に思わず舌打ちした。
本棚に挟まれて左右には逃れられず、背中には壁。
彼の腕をぐいと掴んで引き寄せた。正面から目を覗くと、三成は顔を横にそらす。
「石田三成」
怒鳴るのではない。低い声で諭すように呼びかける。
掴んだ彼の手がまた震えた。
「石田三成、オレの目を見ろ。」
三成は唇を噛むばかりで声一つこぼさない。
その細い顎を捉えて無理やり唇を重ねた。同時に三成が政宗の肩を押して拒否する。
「何のつもりだ石田。この竜に飽きたとでも言いてぇのか。」
「違う!」
力強く空気を叩いた声に政宗が言葉を飲み込んだ。
政宗を睨む三成の目が潤んでいる。もう一つ押せば零れ落ちてくるだろうほどに。
色の薄い唇を戦慄かせて、つむがれる声が泣いていた。
「違う、これは、私の勝手な独占欲だ。」
「独占欲?」
政宗は三成の手を離した。三成は自由になった手を引き寄せて、強く掴まれて赤くなった部分を何度もこする。
「承知の上だ。やむをえないということも理解している。」
政宗は何の話をさているのかわからないまま、それでも黙って、ようやく口を開いた三成の言葉を待った。
三成はこらえるように唇を押さえた。白い顔に益々血の気がたりない。
思わず差し出しそうになる手をこらえた。今手を差し伸べたら、きっと振り払われる。
「私は、お前が、女を抱いているのが、耐えられない。」
鈍器で頭を殴られたような衝撃。
見るな、震える声で言って、政宗と本棚の間から無理やり書庫の外へと歩みを進める三成の瞳から、涙が一筋こぼれおちるのが見えた。
その背中を呆然と見送りながら、政宗は言葉を選ぶことすら出来なかった。
「私に触れた手で、女を抱くのが、こんなこと、考えたこともなかった。わかっていたつもりだった。今でもやむをえないと頭では理解している、しかし…」
まくし立てる声が次第にかすれて消えてしまった。


「今、お前に、触れられたくない。」

_______________________


政宗の姿が見えなくなってしばらくが過ぎた。
あの日、三成の悲鳴を聞いて、彼は三成を追っては来なかった。その次の日から姿を見せない。
片倉が何も言わないから、おそらく姿が見えない理由を片倉は知っているのだろう。
朝の会議すら片倉が代役を務める始末。
さすがに気になって、それとなく聞いてみた。戦でもない、同盟を結びに行くのであれば必ず片倉が同行する。では、彼は何処にいるのだ。
「すぐにわかる」
右目はそう言って、三成の頭をやさしく叩いた。
「大丈夫だ。」
その日の夜。
夢に女の声が蘇って飛び起きた。
心臓が早鐘を打って、全身が冷たい。どうしようもない現実に眩暈がする。女になりたいというわけではないのだ。それでも子をなせないこの体は、いつまで彼の隣にいられるのか。
「よう、石田三成」
突然ふすまの向こうから声が聞こえた。聞こえたと同時にふすまが開く。
燦燦と照る満月を背負って、久しく姿を見せなかった奥州の頭首、その人だ。
きりとつりあがった目が、動けない三成を捕らえて離さない。
政宗はずかずかと室内に入り、三成の前に座った。
「三成、見ろ。」
政宗は明るい月明かりの下、おもむろに着物を脱いだ。
鍛えられた筋肉を覆う白い肌の、指で示された部分。臍の脇の柔らかい部分に、真っ赤な牡丹を抱いて昇る蒼竜の鮮やかな刺青が彫られていた。
政宗が三成に手を差し出す。三成は引き寄せられるようにその手をとった。
体温の低い手を、白肌の上、獰猛に昇る竜の上に当てる。
竜に触れた細い指は、その体温を確かめるように牡丹と竜をなぞった。
「三成、オレは、奥州筆頭立て政宗だ。」
紫の瞳に竜を焼き付けていた三成のりょうの頬を包んで引き寄せる。
「だから、オレの全部をお前にやることは出来ねえ。わかってるな。」
三成は政宗の手の中で小さく頷いた。
その額に優しく触れるだけのキスを贈る。
「けどな、三成。少なくともオレのここだけは」
政宗はくっきりと掘り込んだ竜を示して言う。
「ここだけは、お前のものだ。竜の身をお前にくれてやる。大サービスだぜ。」
茶化すように言う口調とは裏腹に、その瞳の真っ直ぐなこと。
三成の頬を涙が伝って、伝う涙の行き着く唇が、安堵に和らぎ花のようにほころぶ。
「もらってくれるな?」
「断る理由が無い。」

政宗はほとんど一つの季節がめぐる間触れることが出来なった三成の唇に自分の唇を重ねた。









          強制終了
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[ 2012/02/03 23:23 | Comments(0) | TrackBack() | 政三 ]

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