ビイドロを半兵衛さまに吹かせてむらむらする松永さん書くつもりが、なんか違った。
しんと冷たく鮮やかなガラス細工、細 い棒の先にまあるい袋がついていて、 隅々までまるで貴婦人のように装飾が 施されたそれ。
「卿に似合いだろう。 ビイドロと言うそうだ。」
「へえ、ビ イドロ。」
白い指先で表面の凹凸をたどる。
どうやら彼は長崎へ遥々遠征し たらしい。
「土産なんてらしくない何かいい収穫でも?」
半兵衛が首を傾げる と、羽織を脱いだ松永が肩をすくめ た。
「いやなに、卿がそれをくわえて いるのを見たくてね。」
一度わたした ビイドロを、白い手から取り上げる と、松永は棒の先端を軽くくわえた。
「こうして、遊ぶのだよ。」
ぷ、と頬 を膨らませてガラス細工へ息を吹き込む。
ぽっぴん、小気味良い澄んだ音を立て てビイドロの底面が膨らみ、またもと に戻った。
夏に似合いの涼しい音だ。
しかし半兵衛は、髭の生えた彼が、固 い指でビイドロを吹く様がいかにも不 釣り合いで、込み上げる笑いを押さえ られず、クスクス笑う。
「卿も、やっ てみたまえ。存外難しい。」
「今は無 理っ」
「卿に似合いだろう。 ビイドロと言うそうだ。」
「へえ、ビ イドロ。」
白い指先で表面の凹凸をたどる。
どうやら彼は長崎へ遥々遠征し たらしい。
「土産なんてらしくない何かいい収穫でも?」
半兵衛が首を傾げる と、羽織を脱いだ松永が肩をすくめ た。
「いやなに、卿がそれをくわえて いるのを見たくてね。」
一度わたした ビイドロを、白い手から取り上げる と、松永は棒の先端を軽くくわえた。
「こうして、遊ぶのだよ。」
ぷ、と頬 を膨らませてガラス細工へ息を吹き込む。
ぽっぴん、小気味良い澄んだ音を立て てビイドロの底面が膨らみ、またもと に戻った。
夏に似合いの涼しい音だ。
しかし半兵衛は、髭の生えた彼が、固 い指でビイドロを吹く様がいかにも不 釣り合いで、込み上げる笑いを押さえ られず、クスクス笑う。
「卿も、やっ てみたまえ。存外難しい。」
「今は無 理っ」
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