虎鉄くんの誕生日が明日と聞いて。
土日の部活は日が落ちる頃に終わった。
いつの間にか今年も終わりが見えてきた。春の柔らかい日差しを吸って仄かに浮かぶ桜の花びらに目を細めたのはついこの間のように思っていたけれど。
動き続けて温まったからだが徐々に冷えて、虎鉄は首筋を抜ける風に思わず首をすくめた。
寒さに思わずもらした声が、白い気体になって溶ける。
ジャージから制服に着替え、明日は誕生日だからおごってやると、夕食に誘ってくれた猪里と並びながらマフラーを巻いているところで
「虎鉄くん」
牛尾に呼び止められた。
ささやかな期待をこめて振り返る。
「お疲れ様、二人とも羽目を外し過ぎないようにね」
それだけ言って、虎鉄の制服の、ちょうど胸ポケットの上あたりを軽く叩いただけ。
後はいくらか先で待っている蛇神の元へと向かってしまった。
「相変わらずまじめやね~。今日くらい許してくれてもよかたい」
行こう、と猪里に背中を叩かれて、虎鉄はようやく歩き出した。
明日、部活は休みだ。
視界の隅に蛇神と二人、校門から町へと溶けていく二人の背中がチクチク刺さった。
「虎鉄、なんば食べる?好きなもんばおごってやるっちゃ」
「N~!猪里ちゃん太っ腹!!じゃ、ケンタッキーがE~Na!」
「ケンタ?!調子のんな!」
「男に二言はかっこ悪いZe」
「あ~もう、食べ過ぎんとよ!」
「さっすが猪里ちゃん!愛してRu!」
少々おおげさに腕を広げて猪里に抱きついた頃には二人の姿はもうすっかり見えなくなっていた。
いつの間にか今年も終わりが見えてきた。春の柔らかい日差しを吸って仄かに浮かぶ桜の花びらに目を細めたのはついこの間のように思っていたけれど。
動き続けて温まったからだが徐々に冷えて、虎鉄は首筋を抜ける風に思わず首をすくめた。
寒さに思わずもらした声が、白い気体になって溶ける。
ジャージから制服に着替え、明日は誕生日だからおごってやると、夕食に誘ってくれた猪里と並びながらマフラーを巻いているところで
「虎鉄くん」
牛尾に呼び止められた。
ささやかな期待をこめて振り返る。
「お疲れ様、二人とも羽目を外し過ぎないようにね」
それだけ言って、虎鉄の制服の、ちょうど胸ポケットの上あたりを軽く叩いただけ。
後はいくらか先で待っている蛇神の元へと向かってしまった。
「相変わらずまじめやね~。今日くらい許してくれてもよかたい」
行こう、と猪里に背中を叩かれて、虎鉄はようやく歩き出した。
明日、部活は休みだ。
視界の隅に蛇神と二人、校門から町へと溶けていく二人の背中がチクチク刺さった。
「虎鉄、なんば食べる?好きなもんばおごってやるっちゃ」
「N~!猪里ちゃん太っ腹!!じゃ、ケンタッキーがE~Na!」
「ケンタ?!調子のんな!」
「男に二言はかっこ悪いZe」
「あ~もう、食べ過ぎんとよ!」
「さっすが猪里ちゃん!愛してRu!」
少々おおげさに腕を広げて猪里に抱きついた頃には二人の姿はもうすっかり見えなくなっていた。
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