牛虎です。
微グロ注意。
さらっと牛尾さんが虎鉄君を監禁してるかんじですけど詳細省いてます。
落書き。
微グロ注意。
さらっと牛尾さんが虎鉄君を監禁してるかんじですけど詳細省いてます。
落書き。
魔法のスプーンを手に入れた。
純金だろう、ずっしりと重たいスプーンだった。
装飾が施されているわけではなく、よく手に馴染む優しい曲線を描いたただのスプーンだ。
これで掬うと、あらゆる物が食べられるらしい。
お代はそれでいいよと、怪しげな男は、牛尾が首から提げていた十字架を指差した。
ずっと大切に肌身離さずいた十字架だった。
大事のときは手に握ると心が落ち着いた十字架だった。
牛尾はそれをはずして男に渡した。
変わりに牛尾の手には、ずっしりと輝く美しい黄金のスプーンがあった。
帰宅した牛尾は試しに机に置いていた聖書を掬ってみた。
幼い頃、教会に通うために両親が買ってくれた聖書は、分厚くて、外側は日に焼けて色があせている。
心の中で、わずかに残った罪悪感から祈りを唱え、匙を、さした。
紙でできているはずの聖書は、まるでミルクと砂糖を卵で固めたかのようなやわらかさで、いとも容易くスプーンを受け入れた。
そうして少しだけ手首を返すと、匙の形に聖書が抉れて、匙の上には聖書だった一部が乗っていた。
あまりにものあっけなさに驚く。
匙の上にのった聖書を口に運んだ。
何重にも重なっている頁が、口の中でほろほろと溶けて、数回咀嚼しただけで形をなくし、あっという間に飲み込んでしまった。
喉を抜け、食道を通って胃へ落ちていく。
あらゆる物が食べられるスプーンとは、本当だったのだと確信を得た。
牛尾は部屋の奥の扉を開けた。
扉の向こうがは、窓の無い暗い部屋だった。
部屋の中には、牛尾が用意した一級品の家具が揃えられていて、大きな天蓋つきのベッドの上に、虎鉄大河が横になっていた。
ベッドの上で布団もかけずに眠っている彼の目に目隠しをした。
彼の肌を傷つけないよう、シルクでできたやわらかい手触りの布で彼の目元を覆う。
視界を全て塞いでから、こてつくん、と耳元でささやいた。
虎鉄の体が緩慢に動く。
「牛尾さん?」
答えた声がまだ眠たそうだ。
視界が暗いのが、目が開かないからなのかと思ったのかもしれない。
目元を探った虎鉄が、漸く目隠しに気がついた。
「はずさないで」
虎鉄の手をそっと押さえると、虎鉄は少しだけ首を傾げたものの、目隠しから手を離した。
「食事を、持ってきたよ」
「もうそんな時間なんですNe」
「そうだね、おきたばっかりのところだけど、食べられる?」
「食べますYo。ここにいると、今が何時かさっぱりわからりまSeん。」
肩をすくめた虎鉄の仕草に、牛尾の口元がすこしだけ緩んだ。
「食べさせたいから、このままいい?」
「それで目隠しですKa?何かとおもいましTa。」
「びっくりさせてごめんね」
「・・・慣れましたYo」
「じゃあ、口をあけて」
牛尾はポケットからハンカチを取り出すと、それを厚めに畳みなおして自分の口に咥えた。
そして、黄金色のスプーンを右手に握りなおすと、自分の左腕にそれをさした。
スプーンは先ほど聖書に刺さったときと違う手応えをかえしながらも、容易く腕に刺さった。
その容易さと裏腹に、牛尾を激痛が襲う。
口に咥えたハンカチをかみ締めて、声を漏らさないように耐えた。
額に脂汗を浮かべながら、牛尾はスプーンで、牛尾の左腕の肉を掬った。
荒い呼吸を悟られないように、浅く慎重に呼吸しながら、虎鉄の口に匙を運ぶ。
虎鉄が新鮮で赤い血液で濡れた牛尾だった一部をスプーンごと咥えると、少しだけ待って匙を引く。
匙の上にはもう何も乗っていない。
虎鉄の顎が上下に動いて、やがて喉が上下した。
「おいしい?」
「おいしいでSu」
「よかった」
「これ、なんですKa?」
「食べ終わったら教えてあげるよ」
そういって牛尾は再び己の左腕に匙をさした。
匙でえぐられた傷口は、激痛を訴えはするものの、不思議と血液が落ちてくることは無かった。
虎鉄の唇が、何度も運ばれた牛尾の血の色で赤く染まって美しかった。
左の腕が尽きてしまう。
スプーンは骨まできれいに掬ってしまったから、まるでさいしょから何も無かったかのようだ。
「もう、食べ切れませんYo」
「そう、じゃあ今日はおしまいにしようか」
「はい、ごちそうさまでしTa」
「おそまつ様でした。目隠し、外していいよ」
虎鉄の手が目隠しにかかる。
シルクでできたやわらかい手触りの布を軽く摘み、そっとしたに引きおろした。
暗がりの中、虎鉄の目が牛尾を捕らえて見開いた。
「おいしかった?」
牛尾は満足気に笑っていた。
「明日も、食べようね」
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